介護との両立か退職か――介護離職という選択肢の先にあるもの
「介護と仕事を両立していこうか、それとも介護に専念するために退職しようか」
この分かれ道は、人生を大きく左右する岐路です。
介護離職という道の先に何が待ち受けているのか、ぜひ参考にしてください。
壁① 介護とお金の問題
介護にかかるお金は、だいたい
月8万円 × 介護期間10年 = 約1,000万円 × 両親
と言われています。
これに加えて、離職して無収入の自分の生活費もかかります。
お金がなければ必要な介護は受けられず、そのしわ寄せが自分にきます。昼夜問わず自分でやるしかなくなります。
この悪循環がひとたび始まると、本人の努力だけでは抜け出せない状況に追い込まれていきます。
壁② 介護は大変
仕事との両立が大変だからと介護離職をした方の7割は、「経済的・精神的負担がむしろ増えた」という調査結果があります。
そして4人に1人が、寝れない・抑うつなどのメンタル不調を感じているそうです。
退職の決断の前に、
- どこまでやれそうなのか?
- どこまでやりたいのか?
を自問自答することが大切です。
介護業界で働いた経験から言えば、介護は「割り切ること」が大切です。自己犠牲にならないために、感情と行動は別物という感覚がとても重要です。
「介護ができない=親への愛情がない」ではありません。負担を減らしたいと思うことは、自然なことです。
壁③ 再就職が難しい
「再就職をしよう!」と思っても、多くの方が再就職できない現実があります。できても収入は4割以上減っている人が多いという調査結果もあります。
親の介護を終えたあとも、自分の人生は続きます。低収入での生活、低年金の老後、そしていつかは自分にも介護が必要となります。このあたりまで想定したうえで、キャリアの区切りを決断するべきでしょう。
壁④ 腰痛のリスク
「介護は誰でもできる」と思いがちですが、それは間違いです。介護には確かな技術が必要です。それを学ばずに力任せで行えば腰を痛めます。
介護における腰痛の発生頻度は高く、約6〜8割の介護者が腰痛を訴えていると報告されています。
介護離職という道には、想像以上に険しい壁が待ち受けています。事前の情報や準備なしにこの道を歩むことの無謀さが、少しでも伝われば幸いです。
会社にできること
介護離職した方の多くは、親の介護度の増加とともに仕事との両立が困難になっていき、周囲に相談することなく望まぬ退職をしています。
一緒に働いている上司・同僚・部下の介護事情を、あなたはご存じですか?
超高齢化と人手不足が深刻化する現代において、介護離職の問題に目を背け続けることは、企業経営の根幹を揺るがす事態となります。
現状を変える第一歩は確かにエネルギーがいります。まずは手軽に始められる企業研修から着手してみてはいかがでしょうか。
当事務所では「介護離職予防研修」を提供しています。管理職・人事担当者向けに、仕事と介護の両立を支える職場環境づくりをサポートします。お気軽にご相談ください。